代表取締役社長 西谷 敬三
コロナ禍の後世界経済の回復は、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエルの紛争等、軍事衝突の長期化と重なり、世界的なインフレ傾向を強めております。
我が国においても、長期にわたる円安傾向と化石燃料を中心に、エネルギー価格の高騰は景気回復の足枷ともなっております。その中でも、大阪港は中国からの輸入減少に伴い、港の取り扱い量の回復には至っておりません。
私ども大阪運輸はその大阪港に1910年(明治43年)に産声を上げ、創業後、1970年(昭和45年)6月に𠮷川ロジスティクスグループの港湾荷役会社としての位置付けで設立されました。
同年10月に沿岸荷役事業免許取得、1978年(昭和53年)に船内荷役事業免許を取得し、その後1984年(昭和59年)に船内荷役と沿岸荷役が統合され大阪港港湾荷役事業免許を取得しました。その後は倉庫業、一般貨物自動車運送事業の許可を得て、これを機に港湾総合物流業として確立してきました。
しかしながら、昨今の世界情勢の厳しい中で、大阪運輸は海外・国内からの輸出入貨物を取り扱う大阪港にて、船内事業から沿岸荷役、マーシャリング、ドレー業務、そして物流倉庫を経由し配送までを一貫事業として独自でできる体制の確立ができました。
海から陸への港湾総合物流業に、『ONLY ONE カンパニー』をスローガンに取り組んでおり、港湾業者としては社員平均年齢42.5歳と非常に若く、現在は港湾エリアを中心に50の事業所、6事業部で構成しています。
港湾事業は大阪運輸の免許事業で船内業に始まり、沿岸荷役事業を行う大阪運輸として背骨の事業と捉えております。
物流事業は総合一貫事業として、3PL事業の倉庫オペレーションや冷凍倉庫事業も含め3温度帯の業務を担っています。
陸運事業に関しましては、船内・沿岸をつなぐ要の事業であり、全ての事業を繋いでいく役目を担っております。
倉庫事業については南港の大阪運輸ロジスティクスセンター(OLC)やOLCⅡ、泉北倉庫と港湾エリアの自社倉庫を活用し、幅広く倉庫業を展開しています。
鉄鋼事業はまさしく港湾事業の基礎であり、物流の貨物で重厚長大な鉄鋼を取り扱うなかで、安全や技術の伝承が不可欠であり、大阪運輸の作業のなかでも、重要な役割を担っています。
最後に環境事業として、2021年(令和3年)に泉北汐見埠頭の港湾エリアにSDGsの取組みの一環として、リプロ 南大阪リサイクルセンターを開所しました。
物流現場や港湾エリアにて廃棄されるパレット等の木屑やストレッチフィルム等をリプロに導入した光化学選別機に通すことでRPFと呼ばれる再生固形燃料が作られ、これまで最終処分場で全て廃棄していた産業廃棄物のリサイクルが可能になりました。廃棄物の内90%程を再生燃料にすることで、従来の石炭等の使用時より約33%のCO2排出量が削減されます。このRPFは大手製紙会社等からの化石燃料の代替としての需要が多く、このような再利用はSDGsに貢献できる新しい取り組みとして注目されています。
各6事業部においても、作業スペシャリストの育成については一定の成果、また組織の向上が見られ、6事業部の連携が図られていることが強みでもあると認識しています。
そのなかで、新社長としての今後の事業展望としましては、長年の事業拡大を邁進された𠮷川社長が構築された総合物流事業の各事業部を更に面で拡げて、より一層現場力を高めて参ります。
また、昨年にタイの現地法人への出資・提携、又、韓国の銀山海運との業務提携に始まり、本年4月にグループ会社として18社目になる、𠮷川ロジスティクスベトナムを海外法人として設立したなかで、大阪運輸としては、グループ会社の丸山物流と協力し、丸山物流の元請け海貨免許及び通関免許を駆使しながらグループ内でシナジー効果を出して参ります。また、得意先様へは、海外の物流拠点への誘致を行うとともに、将来を見据えた海外展開に対し、グループ内で率先して貢献できる会社として邁進して参ります。
大阪運輸株式会社は鉄鋼やプラント物からエンピツ1本までを扱う幅広い事業を行い、冷凍冷蔵業務、空港関連のカーゴ業務、倉庫運営での営業力、また配送トラックからトレーラーまで運行する陸運では環境への取組みも行っています。
大阪運輸は総合物流事業を一貫して行える、グループの中でも多岐にわたる作業が出来る会社であり、10年先を見据え、大阪港においても『ONLY ONE カンパニー』を常に目指し、会社の成長と共に、従業員の皆さまの働き易い職場を構築して参ります。
また、大阪運輸の創業より諸先輩から受け継いだバトンを、次世代に引き継いでいけるよう事業の継続を進めていく所存です。
最後になりましたが、大阪運輸の従業員の皆様と𠮷川ロジスティクスグループの全従業員のご多幸を祈念して社長としての挨拶に代えさせて頂きます。