吉川ロジスティクスグループの皆さま、新年明けましておめでとうございます。
新しい年を迎え、本年の所信の一端を申し述べさせていただきます。
昨年を振り返りますと、世界経済においては、回復と課題が交錯する1年となりました。先進国では高金利政策が成長を抑制する一方、新興国では堅調な成長が続きました。また、ウクライナ危機や米中対立によりエネルギー供給やサプライチェーンに大きな影響を与えました。日本経済においては、賃上げやインバウンドの回復を背景に緩やかな成長を遂げる一方、円安や物価高が課題となりました。本年においては未来への改革を進めて持続可能な成長を追求していく重要な一年となるでしょう。
物流業界においては、深刻なドライバー不足に陥り小規模な運送会社においては廃業する企業も散見される状況にあり、また倉庫業務においても、配送部門優先の施策が打ち出される企業も出てくるなど、『2024年問題』への対応が余儀なくされた一年となりました。また、2025年以降は様々な業界でAI化・DX化が叫ばれるものの、当社を取り巻く物流業界においては、まだまだ一部に留まっており、労働集約型産業の側面は変わらず、人材の確保が各社の大きな課題になるものと見込まれます。吉川運輸においては、数年前より取り組んできた賃金の引上げ・募集活動の強化・外国人技能実習生の受入れなどの施策により、無事推移することができましたが、新卒採用も低調となっているなかで、先を見据え、より採用活動を充実し、また限られた人材を活かすため、評価制度による実力主義を推進し、活力のある組織を目指していきます。吉川フローズンサプライにおいては、グループのシナジー効果を活かしながら、昨年より取り組んでいる新規得意先の拡充に力を入れ、配送・倉庫両面を持つ、小回りが利く企業を目指し、事業発展に繋げていきます。
港運業界においては、昨年度も中国経済の落ち込みと、1ドル150円を超える著しい円安により輸入貨物の割合が多い大阪港においては一昨年同様の200万TEUを下回る非常に厳しい一年となりました。しかしながら、沖縄を中心とした内航海運においては、急速なインバウンドの回復によりコロナ前の水準を上回るほどの勢いとなっております。本年においては、4月より開催される関西万博、及び、IR事業の建設に向けた海上輸送の活発化が予想されますので、取りこぼしのないよう積極的に案件獲取に動いてまいります。大阪運輸においては、本年4月にリプロ南大阪リサイクルセンターの第2プラントの竣工を迎えるにあたり、更なる営業強化を図り、1日も早い安定稼働を目指してまいります。また、営業倉庫OLCⅡ(大阪運輸ロジスティクスセンターⅡ)においても、4月以降約1,200坪を利用したDC・TC業務が開始されるので安定稼働を目指すとともに、OLC(大阪運輸ロジスティクスセンター)の建替えを早期に具現化できるよう進めていきます。丸山物流においては、昨年4月に立ち上げた外航・フォワーディング部門のシェアの拡大、また、内航においても沖縄のうるま営業所の新倉庫建設を視野に邁進していきます。
鉄鋼業界において、鉄鋼はあらゆる用途に使用する鋼材であり、近年の鉄鋼業界は経済のグローバル化、技術革新、環境規制の強化など、様々な影響を受けています。世界の鋼材需要は新興国の経済成長に伴い、中国・インドなどでは建設、インフラ開発により製造業が徐々に拡大してきております。今年もエネルギー効率の向上やCO2排出量の削減など業界の重要な課題となるため、KYGグループとしては、引き続き得意先の動向、ニーズを把握しながら柔軟に対応し、物価や人件費などのコスト増に対しても更に交渉を続け、利益の追求と職域拡大を目指していきます。
セメント業界においては、国内セメント需要は年々減少傾向となっており、国内インフラ整備や再開発プロジェクトの進行により底堅く推移しましたが、建設業界全体の人手不足や建設コストの上昇が影響し、需要の伸び率は期待できないものとなっております。九州地区においては、本年初旬より熊本県菊陽町の半導体工場の二期工事も開始されますので、セメント三社としては、九州地区の地盤強化、その先の西日本の物流網の確立を目指して取り組んでいきます。
環境関連事業においては、年を追うごとに社会全体が持続可能な社会形成への動きを活性化させ、昨今では廃棄物は『資源』と呼ばれ、世の中の流れがリサイクルへ向けた取組みへと大きく舵を切っています。大阪では夢洲地区の万博開催後、2030年開業予定のIR事業の開発が本年より本格化。また東京では都市部の大規模再開発が継続し、今後数年にわたり事業構想が計画されております。近年廃棄物やリサイクルに脚光が当たるにつれ、コンプライアンスを意識し遵守する企業の姿勢がより一層強く求められます。ハーモニックス・ハーモセレにおいては、適正な処理と品質を第一に念頭に置き、事業発展と社会貢献というハードルを社員一丸となって達成できるように取り組んでいきます。
サステナビリティ事業としては、 社会の持続可能な未来を築くため、どすこいが行っている児童発達支援・放課後等デイサービスを通じて、子どもたちに平等な成長の機会を提供することにより、一人ひとりが持つ可能性を最大限に引き出せるよう取り組んでいきます。また、『誰一人取り残さない』という理念のもと、全ての子どもたちが希望を持って未来を歩める社会づくりを目指していきます。
安全面ではパトロール巡視を強化し、安全面のみならず労働衛生にも注視し、各営業所で積極的に声掛けを行い、安全・衛生に対する意識付けを図りました。本年度においても、安全教育・添乗教育・パトロール強化に努め、『確認後の行動』と『法令と基本動作の遵守』で労働災害撲滅に尽力していきます。
吉川ロジスティクスグループは、今年115周年を迎えます。昨年は𠮷川ロジスティクスグループが海外へ進出する記念すべき年となりました。このベトナム進出を足掛かりに、アジア各国へ更なる事業展開を目指して準備を進めていきます。
最後になりましたが、今年の干支は『乙巳(きのと・み)』です。『乙巳』は「蛇が脱皮を繰り返すように、成長と変化を経て、新しい未来への準備を進める年」と言われており、これまでに培った知恵と経験を基に、新たなことにチャレンジするには最適な年になると言われておりますが、未だに国際情勢の不安・気候変動・円安の進行、物価の上昇など、社会生活は不安定な要素が溢れております。我々物流業界はカーボンニュートラル『脱炭素社会』の実現や、SDGsの『持続可能な社会』の構築に向けて社会的使命を遂行するためにグループ一丸となって取り組んでいきます。そのためには、従業員の皆さまのご協力なくして継続できませんので、更なるご尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本年が、皆さまとご家族にとりまして幸多い一年となることを祈念し、年頭のご挨拶と致します。